女子大生、テキ屋になる
大学1年の時、お祭りの屋台のバイトをしました。
早朝の神社に集合した私たち4人を見渡し、社長(と呼んでたと思う)が一言、
「じゃ、今日はお好み焼きとフランクフルトと、りんご飴とくじがあるから。
好きな屋台選んでいいよ」
えっ、一人!?
私田舎の高校出たてで、なんも分からないんですけど~。
ひとつの店を任せられるとか、無理なんですけど~。
と心の中で絶叫したものの、じゃんけんで結局フランクフルト屋に。
「骨付きだから、そのまま焼いて、焼けたら鉄板の隅のほうに移して。
あと、時々、鉄板にこれかけてね」と手渡されたのが、白い容器・・・
ホットドッグにかける、ケチャップが入ってるやつと同じ形だった。
「油ですか」
「いや水」
!?
聞くと、焼いてる時は意外と音が小さいので、
水で鉄板をジュー!!といわせてお客を集めるらしい。なるほど。
で、いきなり一人で屋台を切り盛りすることになったわけだが、
周りは茶髪でいかにも屋台のプロだぜ、みたいなお兄さんお姉さんがやってるのに、
高校の時から着てるもっさりした服で、
左幸子ばりのでかいメガネをかけた娘がフランクフルト焼いてるのだ。
相当悪目立ちしていたことだろう。
でも、「寒いのにご苦労様」と言ってくれたおばあさんや、
「おつりはできるだけ自分の近くに置いたほうがいいよ。持っていかれちゃう
ことがあるから・・・」とアドバイスしてくれたお客のお兄さんがいた。
お礼を言うと、「僕も学生の時やってたんだよね」と言って去っていった。
なんとかかんとか焼いてはジュー、売ってはまた焼いてを繰り返していたが、
一度、例の白い容器を派手に鉄板に倒してしまった。
ジュー!「あ」と思った瞬間、
待っていたおばさんがありえない早さで飛び退いた。
「ちがいます、これ、水です!水なんです!」と絶叫すると、
「ああ、そうなの、よかった~。油かと思ったわよ」と安心していた。
今思うと、あそこで暴露してよかったんだろうか。今も悩む。
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